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2010年6月13日 (日)

坊主にした。

というのは嘘です。でも、

パツンと髪を切った。

毛の生え際まで…首に風があたり、スーカースーカー…
肩が軽くなった。

いつもの街の風景。
いつもの変らぬ、人の騒めき声。
いつもより、目、耳に、飛び込んできた。

シャンプーをしてくれた男の子が話しかけてきた。
20歳、最近、東京に出てきたらしい。
言葉遣いもオレなんかより、
とてもしっかりしてる。

「あの…」
「なに?」
「聞いても言いですか?」
「いいよ」

って、言っても何も言わない。

「何よ。いいよ、なんでも」
「あの…若い頃に戻りたいと思いますか?」
「嫌だね」
「え?」
「ヤダね。あんな苦しい時期に戻りたくない」
「えー、楽しくなかったんですか?」
「うん。10代の真ん中くらいは楽しかったのかな?
 でも、20代なんて、戻りたくない。30代も」

「なんで、ですかー!?」

と、驚いていた。

短い時間だったけど、いろんな事を話した。

10代の頃、
自分がこんな風になりたい。と、思っていることが、
『そのまま行く』
と、思っていた。

20代、『そのまま行く』ってことが、
そうは簡単に行かないよ。って事に気がついた…
って、いうより、現実という大きな壁にぶち当たった。

暴走族には入らなかったけど、
もっと、たち悪い性格になった。

不貞腐れた。暴れた。八つ当たり。
人が助言してくれる意味が分かっているにも関わらず反発。

自分が、これから、
どうしていったらいいのか分からなく…

それまで楽しかった、
皆で飲んだり、食事したり、多々、そんな事が、無意味に…
自分がその場に居る事が嫌で、まったく参加しなくなり、

どんどん孤立していった。

友達も誰もいなくなった。

家の電話も留守電にしたまま。
事務所の電話しか受け取らなかった。

そのうち、事務所以外、電話は鳴らなくなった。

たまに、通じているのかな?と、受話器を耳に当てた。

「プープープー」

電話はしっかり、繋がっている。
繋がっていても、掛ける人がいなかった。

自分がした事なのに…寂しくなった。

寂しさ紛れに、
文章を書いたり、絵を書いたり、物を作ったり…

今、思うと、
その時期の一人の時間は、とても大切な時間だった。
それに気付いたのは、20年くらい後だったけど…

あの、もがいた20代に戻りたくなんかない。
あの、30代にも…

30代の後半、
10代に漫画のアシスタントをしていた時、
『いつか必ず、やるんだ』と思っていた事が、
体の中がパンパンに破裂するんじゃないかと思うくらい、
ふくらんで
いてもたってもいられなくなった。

どうして、いいかなんてわからなかった。

収入も減るだろう… 
旅行も行けなくなる。
服も買えなくなる。
飯食っていけるのか?
40歳までにはスタートしたい。

突き進んで行った。簡単な事じゃなかった…
ひとつ、ひとつ、片づけていかなきゃいけない、人間関係。

決断する事に、これからの何も見えない不安に、
鬱病にもなった。必死に治した。

また、一人になった。なにも無くなった。

でも、元気だった。
自ら、人にも会いに行く様になった。
甘い、とか言われた。でも、全然平気だった。
なら、どうするか?
めげずに、人に会い続け、考え…そんな時、

『いつか必ず、やるんだ』

と思っていた事を理解してくれた人に会えた。

寝る暇もないくらい、忙しい人なのに、
1年間、物を作っていく事を教えてくれた。
忙しい人なので、いつも、朝だ。

言葉では、何も教えてくれない。軽い助言だけ。
何度直しても、ダメ、ダメ。

「じゃ、また、出来たら連絡して」

「それは、自分で考えなきゃだめだ」

「人に見せる時は、自分がこれだ!って
 物を見せないとダメだよ」

「この物語から、一度離れようか?」

「また、元に戻って書いてごらん」

頭がグルグルした、自分の甘さに。

今だから思えるけど、結局教わったのは、

『自分で考える』

字で書けば普通にさら〜と読める。でも、
本当は言葉に表せないほど大変な事なんだと…
実感した。

自分だけで考える事を徹底的にたたき込まれた。

初めは、家に帰り泣いた。どうしていいか分からなくて…
無我夢中な日々が1年くらい続いただろうか?

その人が、今迄、見たこと無い笑顔で、

「お昼食べよう!」

二人で、近くの店でご飯を食べた。

「初めは、どうしようか?と思ったよ」
「すみません」
「やったね。これからは一人だよ。頑張れ」

と、笑われた。

オレは、泣いてしまった。

だって、何も考えずに、
16枚にする話を、52枚書いて持っていった。
結果、17枚になったけど。ほんと何も考えてなかった。

世界中を、日本中を飛び回り、
コンテを書き、監督、プロデューサー、
その上、社長取締役をやっている人が、
こんな自分に、1年間も付き合ってくれた事。

『自分で悩んで、考える苦しさ…
 物を作るって大変な事なんだよ。
 それを、続けていく気持ちもね』

二人で笑い、ご飯を食べながら、
そんな声が聞こえた気がした…ううん。聞こえた。

食事が終り

「あ、会議だ!じゃ、またね!」

外に出て、別れた。
柔らかい霧雨が降っていた。

その人は、
手を大きく振りながら笑って事務所に戻っていった。

オレはその場を動けず、
走っていく、その人の後ろ姿を見てた。

いろいろな事が…霧雨が漂う様に自分の頭の中に漂った。

今の仕事を、初めに勧めてくれた、
相米慎二じじぃ監督。死んじゃったけど。

それを、ずーっと支えてくれた、
エンジンの安田オヤジ。死んじゃったけど。

MUSIC ON! TVのお社長、御領さん…バリバリ元気。

そして、家人。
人使いの荒さの達人!叩き込まれた、編集、脚本…

…オレの周りには、沢山の人がいた事。

なんか…遺書みたいだな?

毎度、当たり前の事だけど、
脚本も好きなようには書けない。
予算やいろいろ…
また、いろんな壁にぶち当たる。

まぁ〜仕事するって事は、どんな仕事でも
そうなんだろうな。

生きてることって、いつも目の前に壁があるもんだなぁ。
と、感じる。

髪をパツンと切った…背が延びた気がした。
目に、いろんな物が飛び込んできた。

美味い飯を食い、ワインをガンガン飲んだ。

そして、その日は遊んで、寝た。

今、朝!

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