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2007年7月27日 (金)

雀の丸焼きの串焼き

Photo_115
我が家にやっと平穏な空気が少し戻ってきた。
久しぶりに畳の部屋にゴロンと寝ころんで、
ボーッとしていた。
ベランダに雀がいた。
なんだかとてもコロコロしている。
雀って、こんなにボテっとしていたっけ…
と思いつつ、雀がぴょんぴょん歩くの見ていた。

オレは小さい頃から雀が好きだ。
母は雀の丸焼きの串焼きが大好物だった。

旅行に行った時、母は、お店のメニューに、
『雀の串焼き』を見つけると必ず頼んだ。
お皿に串に3羽の雀が、そのまま焼かれて、毛はないけど…
ちっこいコロっとした頭の形が悲しかった…
母はバリバリ音をたて、雀をご機嫌に食べた。
「あんた達も食べてごらん」
と、ニコニコしながら勧めるのだが、
父と兄とオレは食べられなかった。
それどころか自分たちが頼んだ食事さえ、
バリバリバリバリと軽快に雀を食べる音に気分が悪くなり
お箸が止まった。
母親だけ、嬉しそうに雀の丸焼きの串焼きを食べた。
なんか恐かった。

小学5年生の時、台風が去った後、道に雀の雛が落ちていた。
毛がまだ生えていなくて気持ち悪かったけど、
『ひよこ』と命名し、ミミズとか虫を探して食べさせ育てた。
父が鳥籠を竹で作ってくれた。
そのうち、ひよこは手乗り雀になった。
いつも、自分の肩に乗せて歩き自慢していた。
母は、オレの肩のひよこを見ると、「雀食いたいわ〜」と言った。

ある日、学校で一泊二日の移動教室があり、
家を空ける事になった。
普通なら、ひよこの世話は母親に頼むのだろうけど、
雀の丸焼きの串焼きが大好物の母に恐くて頼めず、
近所に住む、おばあちゃんに餌とかの世話を頼んだ。
移動教室の帰り、おばあちゃんの家にひよこを迎えに行くと、
おばあちゃんが、空になった鳥籠を持ってきた。
「餌をやろうとしたら逃げた」と言った。
泣きながら、ひよこがいなくなった鳥籠を抱え家に帰った。
母は「おばあちゃんを責めちゃだめだよ」と
ご飯を作りながら後ろ姿で言った。
泣きながら母の背中をにらんでいたら
「食べてないよ」と、叉言った。
それから沢山泣いて、いつの間にか忘れていった。

中学生になった、ある日、母と庭の草むしりをしていたら、
雀が飛んできた。ぴょんぴょん歩いて何か食べていた。

突然母が、ひよこの話をした。
逃げたのは嘘だったと聞かされた。
オレがひよこをおばあちゃんに預けた翌日、
母とおばあちゃんと、一緒に住んでいる伯母さんと相談して、
ひよこを逃がした。
狭い鳥籠の中で一生を終えるより、
ひよこは普通の雀に戻るのが一番良い。
もし、逃がしても、戻ってきて来たら、そのまま飼い続けようと。
三人で、オレの泣き顔が浮かんで嫌な気持ちだったけど、
いち、にのさん!で空けたら空高く飛んで行った。
夕方まで、おばあちゃんが縁側に置いた鳥籠を
ちょこちょこ見ていたけど、ひよこは戻って来なかった。
伯母さんは泣いたそうだ。
「薄情な雀だ」と言って。

オレと一緒に、畑の持ち主の家まで行ってお願いして、
餌のミミズや虫を探して育てたからなぁ…

伯母さんの泣き顔や、おばあちゃんが縁側を覗いている姿、
大人三人が縁側で雀の入った鳥籠を前にして、
ああだこうだと話している様子を思い浮かべたら、
ちょっと笑ってしまった。

「そうだったんだ…毛むしって食べたのかと思ってた。
 雀の串焼き大好きなくせに、雀に優しいね」

母はジロリとオレを睨んだ。オレもジロリと睨んで、
二人で草むしりを続けた。
空が透明で青くて、
庭が緑できらきらしているのを今でも覚えている。

それからも母は、何処かに行った時、
雀の丸焼きの串焼きがあると必ず頼んで、
ご機嫌で、バリバリバリバリ音をさせ頭から食べ、
父、兄、オレの食欲を無くさせた。

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